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ペルー産カカオ豆チュンチョの魅力



ペルー産カカオ豆チュンチョ種を使ったチョコレートは食べたことはあったものの、初めてカカオ豆そのままを食べたのは、2022年パリのサロン・ド・ショコラ。上質なカカオ豆を調達販売しているヨーロッパの会社、カカオ・ラティテュードのケイトさんを紹介してもらったのがきっかけでした。サンプルをもらい、帰国して早速試作。これまで色々なカカオ豆を試していたのですが、こんなに香り高く、大地を感じるような力強い味わいには、本当に衝撃を受けました。


by Cacao Latitudes


チュンチョ・カカオ豆は、ペルーの北西部ウルバンバの谷周辺で栽培されている希少な野生種。ウルバンバと言えば、実は私、5年前にマチュピチュに行ったのですが、クスコからマチュピチュの玄関口オリャンタイタンボ駅への道中に通った場所です。



駅へ向かう途中で運転手さんが、ウルバンバの崖に作られたガラス張りのカプセルホテル“スカイロッジ アドベンチャー スイート”を教えてくれました。地上400m上の崖の上に3棟だけ吊るされています。画像のどこかわかりますか? 笑




ウルバンバの谷は聖なる谷とも呼ばれています。インカ帝国の首都であったクスコから約80kmにある小さな谷ですが標高がクスコより低く、肥沃な土地のため農業の中心地でした。農業技術の開発が行われ、アマゾンと都を結ぶ、マチュピチュへも通じるインカ古道の重要拠点として、「力」を得ていった歴史があります。


クスコ市内アルマス広場




現代でもその肥沃な土地を活かして、カカオはもちろん、キヌアやトウモロコシ、イモ類も数十種類もあるなど、様々な食材が栽培されています。



ペルーは多様な気候帯を持ち、世界でトップ10の遺伝的多様性の中心地の一つとされています。この多様性は生物の遺伝的変異が高められ、特にカカオ栽培において、この多様性がフレーバーに大きく影響しています。



by Cacao Latitudes


数年前、チュンチョ・カカオは放棄された農場の増加により絶滅の危機に瀕していたそう。そこで、2014年にカカオ・ラティテゥードが多くの支援を得て、この希少で魅力的な香りのするカカオ豆の保護、積極的に栽培できる環境を育てていった経緯があります。



このチュンチョ豆、通常よりサイズが小さく、作るのがとても難しい。しかも、サイズが小さいことで、チョコレートにならない殻の部分が通常の約1.5~2倍あり、その分チョコレートになるカカオニブが取れる量が少なくなります。しかしこの手間以上に、カカオ豆の香りや焙煎時の振れ幅の大きさなど、魅力的な部分が多々あるのでやめられない。すっかり沼にどっぷりハマっています。


そして、これは作り手だったら、本当に驚く事実なのですが、カカオ豆に含まれるカカオバターの比率が60%以上あります。通常は50%くらいなので、一般的なカカオ豆よりとても多い。カカオバターが多いことで、さらに作業が難しいのですが、食べる人にとっては、口の中で香りの余韻が長く、クリーミーな質感を感じることができる、とても魅惑的なチョコレートとなります。



マチュピチュに行くために通っただけだったウルバンバの谷。

5年後に、この土地のカカオ豆を使ってチョコレートを作ることになるとは思ってもいませんでした。マチュピチュで見たこの素晴らしい景色。ここで得たパワーが縁を運んでくれたのかもしれません。

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