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カカオの魅力を引き出す焙煎

ペルー産チュンチョの浅煎り、深煎りの面白さの発見



ブランド第一弾の冬のカカオスイーツとチョコレートに、ペルー産チュンチョ2種類の焙煎違いのカカオ100%チョコレートを入れることにしました。

最初はカカオ70%と100%の2種類にしようかと思ったのですが、このカカオ豆のテストをしていくうちに、風味の幅の大きさに驚き、カカオの面白さをよりマニアックに楽しんでもらいたく、深堀した商品の組み合わせにしてみようと思いました。


カカオ豆のポテンシャルによって、この振れ幅は変化します。

去年、パリで開催されたサロン・ド・ショコラでペルーのブランド、エレメントチョコレートさんと出会いました。話を聞くと、彼らは料理で良く使う方法で、カカオ豆を焙煎し、同じ豆からいろんな香りを引き出しています。

日本では、まだ購入することが出来ないのですが、いつかぜひ試していただきたいチョコレートの一つです。




ここで、簡単にカカオ豆の焙煎についてご説明したいと思います。



チョコレートの香りを決定づける上で、とても重要な製造工程の一つである焙煎。 

発酵・乾燥時に生み出された物質から、熱を加えることでカカオに眠っている香りや香ばしさを引き出す効果があります。酸味と渋味が減少するだけでなく、色調の変化、水分の蒸発に加え、殺菌効果もあるので、安全に食べることができ、さらには、豆を覆う外皮と中身が分離し、その後の粉砕作業で処理しやすくなるという特徴もあります。



焙煎の方法

・豆ロースト・・・外皮が付いたまま焼く

・ニブロースト・・・外皮をむいた胚乳部分(ニブ)を砕いた状態で焼く

・リカーロースト・・・生のニブからカカオマスを製造してから加熱する

・パウダーロースト・・・生カカオマスからココアバターを搾油して得られる生カカオパウダーを加熱する

ほとんどのBean to barチョコレート専門店は、カカオ豆をそのまま焙煎する豆ロースト法を採用しています。


焙煎機の種類

・極小ロット、手作り体験ワークショップなど・・・フライパン

・小~中ロット・・・ロースター(ドラム式・連続式熱風焙煎機など)、オーブン(コンベクションオーブンなど)

・大ロット・・・大型ロースター

最近では、赤外線でローストをすることができる機械も人気です。


焙煎温度・時間による香りと味の変化



焙煎時は「メイラード反応」(アミノ酸と糖を原料に香りを発生させる)が起こっています。そのため、発酵されていない(アミノ酸が生じていない)豆からは香りが引き出せず、

焦げてしまい、繊細な香りを損ない、苦味も強くなります。


珈琲やパン、焼き鳥やステーキなどの美味しそうな香りも同じメイラード反応で香味成分が生成されています。


焙煎温度と時間は一般的に、130℃で45分程度といわれていますが、カカオの品種、水分、容量、サイズによって異なります。各メーカーは、温度とタイミングを調整して、それぞれのカカオ豆に合った最適なフレーバーを抽出します。


カカオ豆が焙煎されることで生じる香りは1000種類以上。

残したい風味、作りたい風味のバランスを考えながら作業を行い、最終的な香りをイメージして、焙煎を行っていきます。




ペルー産チュンチョ豆は、多様性の中で育てられた環境もあり、香りの成分がとても豊か。少しの焙煎違いでもいろんな香りが表現されます。しかも、野生のカカオ豆でオーガニック。自然そのままの力強さを感じます。豆のサイズも他と比べてとても小さいので、焙煎を決めるのは、本当に難しかった。カカオ豆の焙煎は他の食材と違って、焙煎前と後での色の変化があまりなく、カカオ豆は脂肪分が多く熱がまわりやすいため、細心の注意を払う必要がありました。


試行錯誤した結果、浅煎りと深煎りの2種類に決定。見た目は一緒ですが、とても面白い香りに仕上がりました。もちろん、その収穫年度の豆の状態、気候、湿度などによっても焙煎加減は変わるので、今、この時期だからこそのチョコレート、ぜひ味わっていただきたいです。




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